2014年9月29日月曜日

セレンディピティ






アッキーレ・カスティリオーニの椅子を二つ。
自転車のサドルを椅子に用いることで、
電話をしている時など「”ちょっと腰掛ける”ための椅子」という価値を受け継いでいる。

もう一つは農業用の耕耘機の椅子を用いて、
揺れや振動に耐えられる形状を利用し、安定した座り心地を実現した椅子にしている。

どちらも、元々存在する商品を加工することで
価値のDNAレベルで椅子に新たな価値を組み込んでいる。

【セレンディピティ】

デザインや企画の仕事をしていると、
会議で行き詰まる瞬間がある。

ブレーンストーミングや発想法の数々は、
その行き詰まった状況を打破するヒントを脳内の記憶から絞り出すツールが多い。

しかし、大学院のときに”セレンディピティ”という考え方に出会って、
少しその考え方が変化した。

セレンディピティとは、
何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを
見つける能力・才能を指す言葉
つまり、ふとした偶然をきっかけにひらめきや発見、
幸せをつかみ取る能力のことを指す。

この能力は鍛えることが出来るらしい。

確かにキッズデザインプロスペクティブコンペティションで
受賞した子供用歯ブラシ”tooth-fuzz”のアイデアは
当時はやっていたペットボトルで起き上がり小法師を作る方法を見て
「この動きを歯ブラシに取り入れたら面白いんじゃないか」と
思いついたアイデアだった。

ある課題に対して、熟考することや網羅的に問題点のチェックを行うことは大切だが、
一度、課題を意識しつつ日常に立ち返って普通に過ごしてみたり、
ぼんやりと外の世界に思考を委ねてみることも重要な発想法なのだと実感した。

アイデアをくっつけるという考え方は、単純且つ明快ではあるけど、
プロダクトデザイナーの深澤さんの”found object”の考え方に通ずるものがある。
「壁掛け式CDプレイヤー」が換気扇をアイデア元に作られ、
換気扇の概念がないアメリカでヒットしたことなどから
2つの要素が結びつき新しい価値を生み出したことは間違いない。

セレンディピティの能力を高め、
生活の中に存在するありとあらゆるものを、
価値レベルで結びつけることが出来れば
新たなアイデアとして今までにない価値を生むことに繋がると言える。

その精度を上げて行くことが、
今後のデザインの能力を高める一つのきっかけになるのではないだろうか。

収入源のデザインとブランドコミュニケーションのデザイン

現在、24個のビジネスを動かしていると、どうしても出てくるのが時間配分の問題。
ブレーンとなって動いてる人数が4人と非常に少ないのもあって、(しかもデザインは僕1人)どうしても手が回らない事態が多くなってきている。

そこで自然と自分の中で二つのデザインの役割分担が成り立ってきた。
一つは、ビジネスを回転・運営する為のデザイン。
これは最低限のビジュアルで、関わる人の要望を結び合わせ、
主客や顧客のニーズのボリューム層を捉える、いわばミーハーデザイン。

もう一つはブランドコミュニケーションの為のデザイン。
それぞれのビジョンに沿って綿密に練り込まれた、
ブランドビューイングを可視かしたデザイン。
こちらは関係者との緻密なビジョン共有をした上でブランドのゴールや
世界観、ターゲットをくみ上げ、その文脈に沿ったデザインを作り上げるものなので
イメージのズレや、細部へのこだわりが問われる。

この、”こなし”と”こだわり”の二つのデザインのバランスを
取ることによってより効率的なデザインワークスタイルを構築することが出来る。

子だくさんの母親が”肝っ玉かあさん”と呼ばれるように、
ガサツさと繊細さを兼ね備えた”肝っ玉デザイナー”にならなくては行けないようだ。